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2021年度 立教大学は独自の英語試験なし、英語は民間試験か共通テストの得点を換算

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立教大学では、文学部のみ独自の英語試験を課しますが、その他の学部、方式等においては大学独自の英語試験は実施しない方針を固めたようです。

この判断は果たして正しいのでしょうか?

立教大学の発表内容

【立教大学プレスリリース(1)】一般選抜で民間の英語資格・検定試験を全面的に導入

現行1試験日の全学部日程を5試験日に拡大します。試験日が異なれば複数日の併願が可能です。

英語外部試験のスコアを得点化し、本学で受験する他の2科目の得点と合計した3科目の総点で合否を判定します。本学独自の英語試験は実施しません。

文学部は、上記方式に加え、独自の英語試験と国語、選択科目の3科目による試験日を設けます。

2019年7月6日プレスリリースより抜粋

【立教大学プレスリリース(2)】2021年度入試一般選抜改革の変更について

大学入学共通テストでの英語資格・検定試験の導入が見送られたことで、改めて学内で検討した結果、当初予定の7つの英語資格・検定試験に加えて、大学入学共通テストの英語成績の提出でも一般入試の受験を可能としました。これにより、英語多技能の学習を進めてきた受験生および、英語資格・検定試験のスコア取得が難しい受験生に、本学への受験機会を提供します。また、英語資格・検定試験のスコアと大学入学共通テストの英語成績の両方を提出することも可能とし、その場合は本学独自の得点換算方式に基づき、より点数の高い方を合否判定に採用します。

なお、今回の措置は過渡的なものであり、大学入学共通テストの見直しが予定されている2024年度以降の入試については、改めて学内で検討していきます。

※英語資格・検定試験のスコアと大学入学共通テストの英語成績の両方の提出も認め、本学独自の得点換算方式に基づき、より点数の高い方を合否判定に採用します。

※上記以外の内容については、2019年7月5日付プレスリリースにて発表したものから現時点で変更はありません。

2019年11月21日プレスリリースより抜粋

 

報道と反応

【産経新聞】立教大、英語で独自テストせず 民間試験などで評価 来年度入試

来年度から始まる大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入が見送られた問題で、民間試験の全面的な活用を打ち出していた立教大は21日、原則として来年度実施の入試では全学部で英語の独自試験は行わず、民間試験もしくは共通テストの成績を合否判定に使う方針を明らかにした。導入見送りを受け、各大学は民間試験を活用するかどうか判断を迫られており、他の大学・学部などに波及する可能性もある。

産経新聞11/21(木)16:59配信より抜粋

入学前から英語ペラペラな学生を求める大学の姿勢には疑問符を付けざるを得ない

立教大学は先のプレスリリースの中で、英語民間試験を活用することについての理由を次のように述べています。

本学では21世紀の社会をリードするグローバルリーダーを育成すべく、2020年度より全学部1年次必修科目に英語ディベート科目を導入するなどの教育改革を予定しています。そのため、2021年度入試よりすべての入試方式で4技能を測る英語資格・検定試験の全面的な導入を予定していました。

2019年11月21日プレスリリースより抜粋

一見すると良い考えにも見えますが、少し考えると、次の3点の疑問が浮かびます。

やはり自前の英語試験を課すべきでは?

英語4技能を測定する上で、リスニングとスピーキングにおいては機器や設備といった問題があり、実現は容易ではないことは分かります。

しかし、グローバルリーダーを育成するという自らの理念を実現しようとするのであれば、それなりの予算を割き、自前の試験を課すべきではないでしょうか?

いや、「課すべき」というより、「課したい」と思うのが普通ではないでしょうか?

現に、東京外国語大学および上智大学は、それぞれ専門機関と提携することで英語4技能を測る試験を導入しました。

私も小さな個人塾をやっていますが、入塾時に解かせる実力確認用のテストを作るのにかなりの時間と労力を注ぎましたし、毎年細かな改良を施しています。

そのおかげで各生徒の実力がしっかりと把握でき、指導もしやすいのです。

英語の民間試験が悪いとは言いませんが、4年間預かるという責任の大きさからしても、入る時点での実力を測る上で、ぜひ自前の問題を解いてほしい思うのはごく自然な考えに思えるのですが、立教大学は正反対を行くわけです(文学部のみ英語の独自試験がありますが)。

有名どころでは、東京大学は入試の英語の得点に応じて1年時の英語クラスが割り振られます。こうした運用こそ、入試のあり方として実に適切ではないでしょうか。

果たして、今回こうして決定された立教大学の入試のあり方は、上に挙げた東大・東京外大・上智大といった大学を前にしても「グローバルリーダーを育成します」と言うに相応しいといえるでしょうか?

入学後に育成しようとは考えていない?

高校までは読み書きをきちんと習得していることを前提とし、大学4年間で英語漬けにして英語によるコミュニケーション能力を育て、英語4技能を高いレベルで身に付けさせて卒業させる。

この考え方は間違っているのでしょうか?

英語は何歳からでも話せるようになります。子供でないと身に付かないなどということは決してありません。

必要なのは環境です。英語でしかコミュニケーション手段がないところで生活すること、ただこれだけです。

そして、この環境に身を置いた時、大事なのは読み書きの能力です。単語や文法を正しく理解できている人ほど、正確で知的な英語を話すことができるようになります。

何の文法知識もないまま留学したり、国際結婚などで英語圏に住む人で、その後も努力を怠っている人は、いつまで経っても幼児並みの語彙力とスラングでしか会話ができず、ニュースを聞いたり新聞を読んだりすることを苦にしていると言われています。

以上から、日本の大学生であっても、環境さえあれば英語4技能を育てることは十分に可能なのですが、いかんせん日本にはこの環境が存在しません。インターナショナルスクールなどのように、無理やりにでも作り出す以外には。

その点、立教大学は学校なのですから、インターナショナルスクールと同様に、英語だけの環境を作り出すことができるはずです。

なぜ大学全体?

立教大学には2019年現在で10学部が存在します。

※文学部、異文化コミュニケーション学部、経済学部、経営学部、理学部、社会学部、法学部、観光学部、コミュニティ福祉学部、現代心理学部。

これらすべての学部において「グローバルリーダー」を育成する必要はあるのでしょうか?

仮に「グローバルリーダー」が英語を流暢に話す人を意味するとしたら、異文化コミュニケーションや観光学部では重要な能力と考えてもいいかもしれません。

しかし、学術論文を読み書きすることが主要であろうその他の学部にとって、英語が必ずしもペラペラ話せる必要はあるのでしょうか?

日本の大学では、途上国のように英語でしか学べないわけではないのですから、英会話力を発揮する場面はほとんどありませんし、そもそも教える側でさえ英語で講義ができる人間はごくわずかでしょう。

なぜすべての学部で入学時点から4技能を求められるのでしょうか?よくわかりません。

そもそも、立教大学にはGlobal Liberal Arts Program(GLAP)という、英語に特化した学習プログラムがすでに存在しています。

ABOUT GLAP

世界は、大きく変化しています。グローバル化の進展に伴って、さまざまな文化や価値観が国境を越え、新たな対立さえ生み出し、未来も不透明になっています。こうした時代にあって、これからの社会を生き抜く力を育成することは、大学の重要な役割です。立教大学は、創立以来、キリスト教に基づく教育とリベラルアーツの理念を礎に、真の国際人を育成する教育を進めてきました。

そして、この理念をさらに進め、自ら考え、行動し、世界と共に生きるグローバルリーダーの育成を目的とした「Global Liberal Arts Program (GLAP)」を 2017 年 4 月にスタートしました。

自由に学問を探究するリベラルアーツの精神は、さまざまな課題に向き合う思考力や変革力、さらに異なる価値観を持つ人々と共に生きる力を養います。それは、混迷する現代、そして未来にこそ必要な学びです。

さあ、Global Liberal Arts Program で共に学び、世界をフィールドに活躍しましょう。

ABOUT GLAP|立教大学より抜粋

なぜ、すべての学部で入学前に英語4技能を測定される必要があるのでしょうか?

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