共通テスト中に問題画像流出!カンニングの手口と防止策を検討する

2022年1月15日に実施された大学入学共通テスト(本試験)の「世界史B」の問題の画像が流出した件について、その手口と防止策を考えてみたいと思います。

[追記1]
19歳の女性が香川県の警察に出頭したとのことで、事件の全容が明らかになることを願います。

[追記2]
この女子大生と画像の中継役を担った20歳代の男性の二人を偽計業務妨害の疑いで書類送検したとの続報が入りました。

悪用する人間がいると困りますが、この記事を書くことでカンニングの手口を明らかにし、今後の試験監督者や試験システム管理者らがカンニングを防止する上で何が必要になるかを明確化すべく、書いていきたいと思います。

なお、通信抑止装置の使用についてはここでは言及しません。当たり前すぎるからです。ここでは、通信遮断装置以外でどういった対策が考えられるかについて書いていきます。

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免責事項

この記事はカンニング行為を奨励、助長することを本意とするものではなく、現実に実行されうる行為について検証し、その手口を明るみに出すことで、より一層の防止措置の考案の一助となることを願うものです。くれぐれも実際の試験場で実行することのないようお願い申し上げるとともに、それによって生じた一切のトラブルや賠償等について当サイト管理者は責任を負うことはないことを明記しておきます。

テスト中に外部から解答を得るためにしなければならないこと

解答を得るには、以下の手順をすべて成功させる必要があります。

  1. 共通テストの問題を入手する
  2. 問題を撮影する
  3. 撮影した画像を外部に送信する
  4. 解答を受信する
  5. 解答を確認してマークシートを塗る

以下では「一人で実行する」場合と「協力者とともに実行する」場合に分けて、その手口を考察していきます。

1.共通テストの問題を入手する

単独犯の場合

ここでは協力者を得ずに一人でカンニングを実行する場合の手順を考えます。

基本的に日本の高校3年生または高卒者であれば出願可能(詳しくは受験案内(B「出願」)の項目を参照のこと)であり、出願時にチェックが入ることはありません。

出願が受理された後は、受験票をもって試験当日に自分の受験する座席を見つけて座り、監督者から問題冊子が配布されるのを待つだけです。

所持品検査などがない限り、カンニングの意思を持った人間であっても、問題冊子を入手することを防ぐ術はないでしょう。

共犯者がいる場合

ここでは協力者を得て外部から解答を受け取る場合の手順を考えます。なお、カンニングによって受験が有利になる人物を「受益者」と呼びます。

カンニングが発覚した場合、それ以後の受験は中止され、それまでに受験した共通テストの成績は全て無効となります(受験案内(E「試験」))。

このペナルティは受益者(高得点を取ることを目的とする人)にとって重大ですが、そうでない人にとっては何でもありません。

※ただし、今年のように問題流出などが発覚すれば警察が動きますので、そこまでいけば共犯者にとっても重大な不利益となるでしょうが。

何にせよ、大学を受験するつもりはないが出願資格はある人物にも受験をさせ、問題の撮影から送信までを任せることで、この時点で発覚した場合、受益者がペナルティを受けることを避けることができます。

➡ 防止策(案)

  • 所持品検査を行い、隠しカメラつきの機器など、不審なものを持ち込もうとした人間を教室内に立ち入らせない。
  • 受験料を高額にし、気軽に受けることができないようにする(受験料は人員確保や監視機器等の設置といった形で使用する)。
    ※2022年時点では2教科以下12,000円、3教科以上18,000円(受験案内(B「出願」)より)。

2.問題を撮影する

単独犯の場合

監督者に見つからないようにするため、以下の条件を満たすカメラを用意する必要があります。

  • 持ち込み可能物品を模したもの
  • シャッター音が鳴らないもの
  • 撮影動作があからさまでないもの

なお、試験に持ち込むことができるものは以下の通りです。

試験時間中に机の上に置けるもの

  • 受験票、写真票
  • 黒鉛筆(H,F,HBに限る。和歌・格言等が印刷されているものは不可。),鉛筆キャップ
  • シャープペンシル(メモや計算に使用する場合のみ可,黒い芯に限る。)
  • プラスチック製の消しゴム
  • 鉛筆削り(電動式・大型のもの・ナイフ類は不可。)
  • 時計(辞書,電卓,端末等の機能があるものや,それらの機能の有無が判別しづらいもの・秒針音のするもの・キッチンタイマー・大型のものは不可。)
  • 眼鏡,ハンカチ,目薬,ティッシュペーパー(袋又は箱から中身だけ取り出したもの。)

参考:受験案内(E「試験」)

以上より、メガネ型カメラ時計型カメラペン型カメラなどが候補といえるでしょう。

あるいは、超小型カメラに消しゴムのカバーを付ける、という手もあるかもしれません。

いずれにせよ、監督者がスマホやデジカメだけに気を取られていたら大間違いだということがわかると思います。

上の画像の通り、近頃では誰でも手軽で安価にこういった品物を入手することができてしまいますからね。

[追記]今年の画像流出事件では、袖口に隠したスマホで動画撮影をし、その後静止画に加工をしてから送信したということです。本当かどうかはまだわかりませんが、教室内でそれだけの作業を見つからずにできるのかどうか疑問が残ります。

共犯者がいる場合

前項に書いた通り、受益者本人ではなく撮影役の人物が担当します。

受益者は撮影に時間を取られることがないため、解答を受信するまでは自力で解答する時間を確保することができます。

➡ 防止策(案)

  • 頻繁にメガネ等や袖口に触れる行為がないか監視する。
  • 試験開始前に袖の裏側を確認する。

3.撮影した画像を送信する

単独犯の場合・共犯者がいる場合

撮影した画像データを送信する場合、考えられる方法は以下です。

  1. トイレや体調不良等の理由で退室する
  2. 画像データの入ったSDカードをカメラから抜き出す
  3. SDカードをスマホ等に挿し、データを送信する

基本的にスマホは試験開始前に電源を切ってカバンにしまうことを確認されるため、予備のスマホを持っておくか、そもそもスマホを持っていないフリをして、常に身につけておく必要があるでしょう。

※デジカメの場合、撮影した画像データをWi-Fiを通して自動的にスマホやクラウドに送信する機能があるものがあります。メガネや時計、ペンなどの形を模したカメラにこの機能があるかどうかは不明ですが、もしそうした機能があればここで挙げた作業の一部または全部が省けてしまいます。

➡ 防止策(案)

  • 退室時に所持品検査を行い、スマホ等を所持していた場合は不正行為とみなす。
  • 試験時間中にトイレ内に電子機器を持ち込むことを禁じ、入出時に所持品検査を行う。
  • 教室内においては、頻繁にメガネ等や袖口に触れる行為がないか監視する。

4.解答を受信する

単独犯の場合

信頼できる解答を入手するため、学力の高い善意の第三者(事情を知らない人)に迅速な解答を依頼する方法を考えねばなりません。

一人で実行する場合に最も難しいのはこの部分でしょう。

ここでやるべきことは大きく2つあります。

1.学力の高い解答者に画像を届ける

問題の画像を外部に送信したら、それにできるだけ正しい答えを出すことのできる人物に解答してもらわなければなりません。

今年の事例はオンライン家庭教師サービスを利用して東大生などに解答させるものでした。

また、過去には京都大学等の試験問題をYahoo!知恵袋に投稿して解答を得た事例があります(詳細は大学入試問題ネット投稿事件を参照のこと)。

いずれにしても、協力者がいない場合は第三者に解答を依頼する形になるため、送信時に何らかのメッセージを添えるなどの工夫が必要になると思われます。

ただし、Google Driveなどのようなクラウドに画像データを送信し、解答者にそこにアクセスして画像データを閲覧して問題を解くよう予め指示しておくといった方法であれば、画像データの送信時に余分な手間をかける必要はなくなるでしょう。

2.解答時間内に返信してもらう

問題の撮影から送信までにある程度の時間がかかること、また、解答受信後にマークシートを塗りつぶすまでの時間を考えると、解答者に与えられる時間はあまり長くはありません。

しかし、なるべく正解していてもらわなければ意味がありません。

そうすると、全問の解答を要求するよりも、大問ごとに別々の人に依頼するほうが良さそうです。

今年の事例では、「家庭教師の実力を測る」という名目で大学生に解かせていましたが、解かせたのは問題の一部であり、返信までの時間も指定していました。

Yahoo!知恵袋にしろ、オンライン家庭教師にしろ、第三者に解答させる時点で気づかれてしまうおそれがあるため、単独でカンニングに挑む場合は、解答者をいかに欺き、疑問を持たせずに解答させるかがカギとなります。

共犯者がいる場合

以下の2通りのパターンが考えられます。

共犯者に解答者が含まれる場合

解答者が共犯者に含まれるならば話は簡単です。

撮影者から受信した画像データを見て問題を解き、受益者に送信するだけです。

あるいは、撮影者を挟まず、解答者自らも実際に受験するという方法もあります(替え玉受験ではありません)。

時間に余裕をもって解答を終わらせ、解答の番号を暗記するか、問題冊子に小さくメモし、その部分だけちぎって持ち出し、トイレに退室後に受益者に送信します。

全問解くのはなかなか大変でしょうが、大問で区切るなどして部分的に解答を助けるというものであれば負担は少ないでしょう。

共犯者に解答者が含まれない場合

共犯者の中に解答できる人間がいない場合、先の「単独犯の場合」と同様に善意の第三者に解答を依頼しなければなりません。

➡ 防止策(案)

  • 入試問題に安易に答えない(解答する側が善意の第三者の場合)。
  • 事前に所持品検査を行い、何らかの受信装置を所持していないか確認する。
  • 退室時に所持品検査を行い、スマホ等を所持していた場合は不正行為とみなす。
  • 試験時間中にトイレ内に電子機器を持ち込むことを禁じ、入出時に所持品検査を行う。

5.解答を確認してマークシートを塗る

解答は目または耳で確認することになります。

解答を目で確認する場合

目で確認するには、スマートウォッチを使うことが考えられます。

一見すると普通のアナログ時計にしか見えないような見た目のものもあります。監督者泣かせですね。

ただし、受信したメッセージが表示される際に画面が明るくなるなど何らかの兆候を読み取れる可能性はありますし、メッセージの表示中に監督者が見てしまえば一発でバレます。

もちろん、単純にスマホを袖口や股間に隠して覗き見するといった方法もあります。

解答を耳で確認する場合

耳で確認するには、ワイヤレスイヤホンを使うことが考えられます。

耳を髪の毛で隠してしまえばイヤホンをしているかどうかはわかりません。

ただし、共通テストQ&A「試験当日の所持品」より、耳栓は使用禁止とされていますので、耳を確認されるとバレます。

➡ 防止策(案)

  • 腕時計がスマートウォッチかどうか確認する。
  • 袖口や股間を注視していないか監視する。
  • 事前に耳に何もつけていないことを確認する。

通信抑止か、完全持ち込み禁止か、それとも?

カンニングペーパーを持ち込むといった、いわば伝統的なカンニングもいまだに現役かもしれませんが、日々進歩する電子機器を利用したカンニングは、もはや人間の監視の目を欺くには十分すぎる性能を持っているように思われます。

ここまでで見てきた方法以外にもっとスマートな方法があっても何らおかしくはありません。

そうした電子機器によるカンニングを撲滅することは果たして可能なのでしょうか。

電子機器の持ち込みを完全禁止

おとなり韓国では、2005年から入試会場にすべての電子機器の持ち込みが禁じられています。

ところが、それでもなお電子機器を持ち込もうとする受験生が後を絶たないようです。

そもそもカンニング行為自体は昔から禁止されているわけですが、一向になくなる気配はありません。

単に禁止しただけでは撲滅は不可能ということなのです。

通信抑止装置の導入

通信抑止装置は主に劇場やコンサートホールで導入されてきましたが、近年では不正受験を防ぐために一部の運転免許試験場にも導入されています。

そうであれば、運転免許試験場を大学入試会場に含めるのも一つの手ではないかと思います(今のところ入試の会場は大学のみ)。

ただし、共通テスト自体は年に一度か二度(追試験)ですが、大学独自の個別入試や、学期ごとの期末試験などで利用できることも考えると、大学に通信抑止装置が設置されることで大学側にも大きなメリットはあるのではないかと思います。

もちろん装置の導入にはそれなりの費用が必要です。

受験料や大学の設備費などの名目で、最終的に受験生や大学生の出費が増えることにつながる可能性は否めません。

あえての現状維持

筆者は電波に関して詳しいわけではないので上手くいくかはわかりませんが、一つの提案をしたいと思います。

今のところ、スマホは電源を切ってカバンの中にしまうよう指示され、これを守らなければ不正行為とみなされます。

電源が入っていれば、当然ながら送信された情報を自動的に受信することができてしまいます。

すなわち、緊急速報メールのような形で、共通テストの試験時間中に日本全国の通信機器にメールを送信し、強制的に受信させます。

ただし、電源が入っていない場合は受信完了にならないようにします。

そして、試験会場の敷地内で受信完了したアドレスをチェックします。

※電源の入切が行われる可能性を想定すると、1度だけでなく、5~10分おきくらいで複数回送信する必要があるかもしれません。

もちろん、監督者等の試験関係者はそのメールをそもそも受信しないように設定するか、予めアドレス等を登録しておき、受験生と見分けがつくようにしておきます。

※そうした措置が難しければ関係者も全員スマホの電源を切ります。

上記のようにすることで、試験中または試験後に、試験会場内で通信機器の電源を切らずにいた人を特定し、不正行為者とみなすことができるのではないでしょうか。

※受信時に振動したり音楽が鳴ったりすると他の受験生に迷惑なので、どうにかしてそれらが起こらない仕組みにできればなお良いですが・・・。

まとめると、

  • 試験中に全国一斉同時メール送信
  • 試験会場内の受信者特定
  • 受験生かどうかの判別

これらが実現可能かどうか私にはわかりませんが、一つの提案とさせてください。

カンニングは絶対に許してはいけません。

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