裁判所が異例の言及「給特法は教育現場の実情に適合していない」

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教員の働き方改革、一歩前進か?

2021年10月1日、さいたま地方裁判所(石垣陽介裁判長)は、教員の残業代の支払いを求めた原告(公立小学校教員の男性)の訴えを退けた一方で、判決の「まとめ」の中で(給特法は)「もはや教育現場の実情に適合していないのではないか」と指摘した。

まとめ(全文)

 以上のとおり、原告には、労基法37条に基づく時間外労働の割増賃金請求権がなく、また、本件校長の職務命令に国賠法上の違法性が認められないから、その余の点を判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないといわなければならない。

 なお、本件事案の性質に鑑みて、付言するに、本件訴訟で顕れた原告の勤務実態のほか、証拠として提出された各種調査の結果や文献等を見ると、現在のわが国における教育現場の実情としては、多くの教育職員が、学校長の職務命令などから一定の時間外勤務に従事せざるを得ない状況にあり、給料月額4パーセントの割合による教職調整額の支給を定めた給特法は、もはや教育現場の実情に適合していないのではないかとの思いを抱かざるを得ず、原告が本件訴訟を通じて、この問題を社会に提議したことは意義があるものと考える。わが国の将来を担う児童生徒の教育を今一層充実したものとするためにも、現場の教育職員の意見に真摯に耳を傾け、働き方改革による教育職員の業務の削減を行い、勤務実態に即した適正給与の支給のために、勤務時間の管理システムの整備や給特法を含めた給与体系の見直しなどを早急に進め、教育現場の勤務環境の改善が図られることを切に望むものである。

参考:教員給与に裁判長が異例の苦言「もはや実情に適合しないのでは」(朝日新聞)

心無き人々は記事の見出しだけ見て「カネ目当てに教員やってんのか」などと言いそうなので追記。

教員か否かに関わらず、労働の対価として適正な賃金を得ることは決して非難を浴びることではない。

「カネは出さないが働け」は、一般社会では通用しない。

※ここでのカネは適正な賃金のことであり、1円でも出せば「いや、カネ出してるじゃん」などと言うような幼稚な話はしていない。

通用させてはいけないのだ。

しかし、教育現場では堂々とまかり通ってきた。

教員はもっとカネをよこせと言っているのではない。

予算が無いなら無いで構わない。

お金が払えないなら、その時間を奪わないでください。

子どもたちと向き合う時間をください。

子どもたちに勉強の大切さと面白さを伝えるために準備をする時間をください。

何十年もこう言い続けてきているのだ。

給特法は現場の実情に即していない。

「だから廃止してもっと賃金を出せ!」

と言いたいのではない。

「だから廃止して、賃金が出ない分の時間は絶対に奪わないと約束してくれ!」

と言いたいのだ。

どうか、彼らに時間を与えてやってほしい。

時間を与えると碌なことをしない、などという声が聞こえる気がするが、

しばしば犯罪を犯して報道される一部の教員のイメージを、残り全ての教員に当てはめて語るのはやめてやってほしい。

今彼らに必要なのはカネではない。

信頼と時間である。

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